新しい年を迎え、ご家族と過ごされた方も多いのではないでしょうか?
年末年始は親族で集まる機会が増え、改めて「相続」について考えた方もいらっしゃると思います。
「ゆくゆくは資産を子どもに譲り渡したい」「生前贈与も検討している」
その資産の中に「金(GOLD)」がある場合、ここ数年の価格上昇を実感された方は多いと思います。
「金」は現物のまま贈与できます。その場合の注意点について考えてみましょう。
■金の評価額
金価格は日々変動するため、「いつ渡したか」「いつ受け取ったか」が後の税の計算に影響します。
金の評価額=時価(店頭取引価格)×保有重量
- 贈与時は、贈与が成立した日の時価で算出
- 相続時は、被相続人が死亡した日の時価で算出
※評価方法は国税庁が示す一般的な取扱いに基づきます。
■贈与契約書の作成
贈与は「いつ贈ったか」が評価につながります。株式なら名義変更、預金であれば銀行振込みなど、他のエビデンスが残ることもありますが、「金」の現物の受け渡しにはそれらがないため、必ず要件を満たした契約書を作成することが重要です。
- 贈与者(贈る人)と受贈者(受取る人)で贈与契約書を作成する
- 贈与契約書の記載事項
- 贈与者と受贈者それぞれの氏名、住所
- 贈与日
- 贈与内容(例:金の種類[インゴット、金貨など]、品位[24Kなど]、数量、シリアルナンバー等)
- 贈与方法(手渡しなど)
- 書面を2通作成して、双方が1通ずつ保有することで、贈与の事実を明確にする
■金の現物の受け渡し・保管
贈与は「受け取った人が保有して管理する」という事実が大切です。金の保管についても注意しましょう。
- 銀行の貸金庫
- 費用がかかる
- セキュリティが高いので盗難、災害リスクなどに強い
- 金の専門業者による貴金属保管サービス
- 手持ちの金の預かりには対応しない業者もあり、対応しても費用が掛かる場合がある
- 業者により保管方法(特定保管、消費寄託など※)について違いがある
- 自宅保管
- 費用がかからず自由度が高い
- 盗難、災害リスクがある
- 金庫を用意する場合、耐火・耐水金庫が望ましい
- 集合住宅は金庫の重量に耐えうる床の強度の確認が必要
■贈与税の申告
贈与税評価額は、贈与日の時価×重量で算出します。よって、実際の評価額は贈与日(契約成立日)時点で確定することになります。必ず確認して申告をしましょう。
- 毎年1月1日〜12月31日の贈与額合計から110万円の基礎控除を差し引いた残額に課税
- 申告期間は、贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日
- 万が一、贈与から一定期間内(2027年以降は最長7年)に贈与者が亡くなった場合、受贈者が相続人または一定の受贈者であれば、その贈与財産は相続財産として持ち戻して計算されます。(持ち戻しルール※)。
- 相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までの範囲で贈与税を払うことなく受け渡しが可能。ただし将来相続時に贈与日の評価額で相続財産として精算、課税されます。
- なお、相続時精算課税制度を選択している場合でも、2024年以降は年間110万円までの贈与税の基礎控除が併用可能。
■最後に
「金」を売却して換金するにあたっては、譲渡所得税や手数料などのコストがかかります。そのため、財産承継を目的とするなら、金の現物そのものを渡すという選択肢もあると思います。
金の価格は日々変動するので、贈与した日より将来の価格が下がる可能性もあります。また、受け取った側は保管の手間・リスクなども考慮が必要です。
本来、贈与というのは、一方的に行うものではなく、「あげます」「もらいます」という合意が前提です。ぜひ大切なご家族と話し合いながら、最適な方法を検討してみてくださいね。
《補足※》
〇保管方法について
- 特定保管(混蔵寄託):所有権を預けた人に帰属させたまま、現物を保管
- 消費寄託:所有権は保管する業者に帰属。請求時に同種、同量の金を返還
〇持ち戻しルールについて(2024年税制改正)
3年の持ち戻しルールが7年に改正。2027年以降の相続から4年、2028年は5年、2029年は6年、2031年以降に完全7年と段階的に適用。
また、3年前よりも前の期間(4~7年前)に贈与した金額については、合計100万円までは持ち戻し不要。
この記事は2026年1月時点の法制度に基づく一般的な情報提供です。実際の手続きにあたっては、国税庁ホームページや税務署などの最新情報をご確認ください。
2026.1.7
